楽にさせるために。楽になるために。形だけでも終わらせるために。使いこなせなかったSNSをやめるために。もう絶対に見ないようにするために。見えないようにするために。暴走して引き起こした、自分のみならず他人まで巻き込んだ過ちを、自戒の念を込めて記憶に留めておくために。
翔真はカケルを、自らの意思で、自らの手で、始末した。不純な理由で始めた物語に、無理やりにでも終止符を打った。
夢から醒めるように我に返ると、スマホのホーム画面が目に入った。見慣れたアプリがなくなっていた。あれ、と首を傾げてしまいそうになった。数秒前の記憶が曖昧で、そこだけぐちゃぐちゃに塗り潰されたみたいに混濁していた。
息が苦しくなり、翔真は思い出したように呼吸を再開した。足りなくなっていた酸素を急いで全身に行き渡らせようと、懸命に働き始める心臓の鼓動が耳元にまで響いてきた。
頭が急激に熱くなる。霧が晴れるように、狭まっていた視界が開けていく。ドクンと一際大きく心音が轟いた。翔真はようやく現実に帰ってきた。発作的に起こした自分の行動の結果が、SNSアプリの消滅したホーム画面にあった。
「西原」
唐突に、上から声が降ってきた。顔を上げると、テーブルを挟んで対面にいたはずの伊織が傍で翔真を見下ろしていた。目を白黒させた。いつからそこにいたのだろう。全く気配を感じなかった。自分は伊織が動いたのに気づかないほど、強烈な幻覚に飲まれていたのだろうか。
ボロボロになった、自分と同じ顔をしたカケルの首を絞めて殺す幻覚。リアルではないのに、両手には奇妙な感触が残っていた。耳にもカケルの囁きがこびりついていた。
カケルは消え入りそうな声で翔真に言った。殺して、と。耳にした瞬間、翔真は取り憑かれたようにカケルを殺していた。カケルはもうどこにもいなかった。
翔真はカケルを、自らの意思で、自らの手で、始末した。不純な理由で始めた物語に、無理やりにでも終止符を打った。
夢から醒めるように我に返ると、スマホのホーム画面が目に入った。見慣れたアプリがなくなっていた。あれ、と首を傾げてしまいそうになった。数秒前の記憶が曖昧で、そこだけぐちゃぐちゃに塗り潰されたみたいに混濁していた。
息が苦しくなり、翔真は思い出したように呼吸を再開した。足りなくなっていた酸素を急いで全身に行き渡らせようと、懸命に働き始める心臓の鼓動が耳元にまで響いてきた。
頭が急激に熱くなる。霧が晴れるように、狭まっていた視界が開けていく。ドクンと一際大きく心音が轟いた。翔真はようやく現実に帰ってきた。発作的に起こした自分の行動の結果が、SNSアプリの消滅したホーム画面にあった。
「西原」
唐突に、上から声が降ってきた。顔を上げると、テーブルを挟んで対面にいたはずの伊織が傍で翔真を見下ろしていた。目を白黒させた。いつからそこにいたのだろう。全く気配を感じなかった。自分は伊織が動いたのに気づかないほど、強烈な幻覚に飲まれていたのだろうか。
ボロボロになった、自分と同じ顔をしたカケルの首を絞めて殺す幻覚。リアルではないのに、両手には奇妙な感触が残っていた。耳にもカケルの囁きがこびりついていた。
カケルは消え入りそうな声で翔真に言った。殺して、と。耳にした瞬間、翔真は取り憑かれたようにカケルを殺していた。カケルはもうどこにもいなかった。



