嬉々として回収しようとして、寸前で何者かに手首を掴まれた。ギョッとした。晴れ渡っていた視界が、またすぐに暗くて重い不安を煽る色に変化した。
空高く羽ばたきそうになっていた翔真を、片手であっさりと叩き落としたのは伊織だった。伊織が目の前にいて、一挙手一投足を凝視されていたのに翔真は全く気づかなかった。
「大好きなんだね、スマホが」
「あ、いや……」
「好物の餌を前にした犬みたいな飛びつき方だったよ」
伊織は翔真の行動を制したまま、翔真の眼前でスマホを引き寄せた。目と鼻の先にあったものが、触れる直前で横から奪われたような絶望感。まんまと餌に引き寄せられ、檻の中に囚われたような閉塞感。翔真は堪らず声を震わせた。
「い、いつになったら、返してくれるんだよ」
「もう返すよ。でもその前に、提案というか、助言がある」
翔真から手を離した伊織がスマホを見せびらかした。話を聞かせる手段の一つとしてスマホを利用されている。渡せば自分の言葉など耳に入らないとでも思っているのかもしれない。
それくらいスマホに依存していると思われているのだろうか。決めつけられているようで不服だったが、スマホを見て発作的に飛びついた手前、否定はできなかった。解放された手を引っ込めた翔真は、歪む唇を開く。
「じょ、助言、って、なんだよ」
「SNS、アカウントごとさっさと削除するのが賢明だよ」
「……は、え? さ、削除?」
「このままやり続けたって得はないよね。時間の無駄になるだけ」
空高く羽ばたきそうになっていた翔真を、片手であっさりと叩き落としたのは伊織だった。伊織が目の前にいて、一挙手一投足を凝視されていたのに翔真は全く気づかなかった。
「大好きなんだね、スマホが」
「あ、いや……」
「好物の餌を前にした犬みたいな飛びつき方だったよ」
伊織は翔真の行動を制したまま、翔真の眼前でスマホを引き寄せた。目と鼻の先にあったものが、触れる直前で横から奪われたような絶望感。まんまと餌に引き寄せられ、檻の中に囚われたような閉塞感。翔真は堪らず声を震わせた。
「い、いつになったら、返してくれるんだよ」
「もう返すよ。でもその前に、提案というか、助言がある」
翔真から手を離した伊織がスマホを見せびらかした。話を聞かせる手段の一つとしてスマホを利用されている。渡せば自分の言葉など耳に入らないとでも思っているのかもしれない。
それくらいスマホに依存していると思われているのだろうか。決めつけられているようで不服だったが、スマホを見て発作的に飛びついた手前、否定はできなかった。解放された手を引っ込めた翔真は、歪む唇を開く。
「じょ、助言、って、なんだよ」
「SNS、アカウントごとさっさと削除するのが賢明だよ」
「……は、え? さ、削除?」
「このままやり続けたって得はないよね。時間の無駄になるだけ」



