嘘と欲求

 抵抗せず、怖がらず、我慢して、伊織に首を絞めさせる。伊織を親友にし、伊織に付き纏い、伊織を盗撮し、伊織を炎上させた自分への贖罪になるのなら。今はただ、伊織の好きにさせるのが、正解なのかもしれない。

「あ、雨宮、俺のこと、こ、殺す、つもり……?」

「殺すつもりだったら、もうとっくに西原は死んでるよ」

「……あ、はは、確かに。じゃ、じゃあ、いいよ。本当に、殺すつもりじゃ、ないなら」

「死体の処理は、想像するだけで面倒臭いよね」

 それが殺さない理由か、と伊織の本音を知ると共に首を絞められた。許可を貰った伊織に躊躇はなく、あっという間に空気が喉を通らなくなった。一瞬で息ができなくなる。顔が歪む。赤くなる。殺すつもりではないなど嘘なのではないかと、溺水しているかのような苦痛の中で翔真は思った。

 死を意識せざるを得ない異常事態でパニックに陥りそうになったが、全て自分が蒔いた種だと思うと力が抜けてしまった。悪いのは自分。伊織を親友にした自分。秘めていた殺人欲求を解放させる伊織にきつく首を絞められながら、翔真は消えない自責の念に絡め取られた。