有無を言わせない威圧感。翔真は呆気なく言葉を失った。伊織の親指が喉に圧をかけ、翔真を脅かす。心臓の音が近くで聞こえ、呼吸が乱れる。息ができなくなるほど強く首を絞められているわけではないのに、伊織の意思一つで乱れた呼吸すらも止まるのを想像してしまうと、冷静ではいられなかった。
まさか自分は殺されてしまうのだろうか。大人しくしていても。動かなくても。同級生の伊織に。殺人欲求を持っている伊織に。特殊な性癖を認めた伊織に。人の首を覆いながら静かに口を開いた伊織に。
「俺は、猫の首を絞めたことがある。でも、人の首はまだ絞めたことがない。西原、さっき、俺を親友にして申し訳ないって言ったよね。許すよ。その代わり、西原の首を、絞めさせてくれる?」
伊織のお願いを耳にした途端、後悔、の二文字が脳裏にちらついた。伊織は親友にしてはいけない人だった。情報収集にかこつけてストーカーじみた真似をして、同族だと仲間意識を芽生えさせてはいけない人だった。伊織の欲求は、間違いなく本物だ。
伊織に首を覆われたまま、今になって翔真は理解した。伊織が翔真の付き纏いに気づいていながら、やめさせようとはしなかった理由を。
SNSでいいねを欲しがり、いいねを貰うために親友を作り、その親友に伊織を選択した時点で、破滅への道を進んでいたのかもしれない。
ちっぽけな承認欲求を満たす。目先の快楽を味わう。後先も考えずに選んだ道。もう引き返せないところまで来た結果、真っ黒な欲望を胸の内に携え、翔真に手を伸ばしていた伊織に籠絡された。
どちらにするか、どれにするか、出された選択の全てを間違えていた。伊織に首を絞められようとしているのが、その証左である。
伊織は感情のままに首を絞めようとはしなかった。冷静で、理性的。熱のこもっていない声。欲求をコントロールできているのが窺えた。猫の首を絞めた時も、この調子だったのだろうか。伊織は猫を、淡々と、絞め殺したのだろうか。
まさか自分は殺されてしまうのだろうか。大人しくしていても。動かなくても。同級生の伊織に。殺人欲求を持っている伊織に。特殊な性癖を認めた伊織に。人の首を覆いながら静かに口を開いた伊織に。
「俺は、猫の首を絞めたことがある。でも、人の首はまだ絞めたことがない。西原、さっき、俺を親友にして申し訳ないって言ったよね。許すよ。その代わり、西原の首を、絞めさせてくれる?」
伊織のお願いを耳にした途端、後悔、の二文字が脳裏にちらついた。伊織は親友にしてはいけない人だった。情報収集にかこつけてストーカーじみた真似をして、同族だと仲間意識を芽生えさせてはいけない人だった。伊織の欲求は、間違いなく本物だ。
伊織に首を覆われたまま、今になって翔真は理解した。伊織が翔真の付き纏いに気づいていながら、やめさせようとはしなかった理由を。
SNSでいいねを欲しがり、いいねを貰うために親友を作り、その親友に伊織を選択した時点で、破滅への道を進んでいたのかもしれない。
ちっぽけな承認欲求を満たす。目先の快楽を味わう。後先も考えずに選んだ道。もう引き返せないところまで来た結果、真っ黒な欲望を胸の内に携え、翔真に手を伸ばしていた伊織に籠絡された。
どちらにするか、どれにするか、出された選択の全てを間違えていた。伊織に首を絞められようとしているのが、その証左である。
伊織は感情のままに首を絞めようとはしなかった。冷静で、理性的。熱のこもっていない声。欲求をコントロールできているのが窺えた。猫の首を絞めた時も、この調子だったのだろうか。伊織は猫を、淡々と、絞め殺したのだろうか。



