翔真のクラスの席順は、未だデフォルトの出席番号順だった。窓際の前列から後列へ向かって番号順になっている。翔真が気にしている伊織が一番だ。翔真の知る限りでは、伊織は学年で見ても不動の一番であった。
クラスが変わっても出席番号は変わらない伊織は、翔真よりも先に登校しており、自席である最前列で黙々と本を読んでいる。何の本かは、やはりカバーに阻まれて知り得なかった。
新学年になって二ヶ月ほどが経過していた。他クラスのほとんどは一足先に席替えをしたようで、既に出席番号順ではなくなっている。それをなぜか異様に羨ましがる生徒は少なくなかった。
今日こそ担任に訴えかけようと数人で結託して奮起する生徒がいる中、翔真はあまり乗り気になれずにいる。今の席が離れ難いほどに気に入っているからではなく、今の席であれば、前の席にいる伊織を観察できるからであった。席替え後も伊織の背中を見られる席であればいいが、必ずそうなるとは限らない。伊織の前になってしまうとさりげない動作で眺められなくなる。前から後ろを頻繁に振り返るなど不自然でしかない。変わり者扱いされて終わりである。
席替えという教室内のささやかなイベントも、翔真にとっては憂鬱だった。伊織の後ろになれる確率は一体どのくらいなのだろうと、平凡な脳味噌なりに計算を試みる。だが、どう計算するのが正解なのかさっぱりだったため、翔真は粘ることもなくすぐに諦めた。頭から湯気が出そうなほど考え尽くしたとしても、正確なパーセントが導き出せるとは思えない。
手っ取り早く数学教師に質問しに行ってみるか、などと血迷いそうにすらなったが、寸前で正気を取り戻す。馬鹿なことは聞けない。伊織の後ろになれない可能性もあるように、なれる可能性も秘めているのだから、なれないかもと悲観するだけ精神が擦り減るだけだ。
雑に無理やりまとめて自分に言い聞かせた翔真は、自席で隠れてスマホを触った。息をするように自然と、指がSNSを開いた。
クラスが変わっても出席番号は変わらない伊織は、翔真よりも先に登校しており、自席である最前列で黙々と本を読んでいる。何の本かは、やはりカバーに阻まれて知り得なかった。
新学年になって二ヶ月ほどが経過していた。他クラスのほとんどは一足先に席替えをしたようで、既に出席番号順ではなくなっている。それをなぜか異様に羨ましがる生徒は少なくなかった。
今日こそ担任に訴えかけようと数人で結託して奮起する生徒がいる中、翔真はあまり乗り気になれずにいる。今の席が離れ難いほどに気に入っているからではなく、今の席であれば、前の席にいる伊織を観察できるからであった。席替え後も伊織の背中を見られる席であればいいが、必ずそうなるとは限らない。伊織の前になってしまうとさりげない動作で眺められなくなる。前から後ろを頻繁に振り返るなど不自然でしかない。変わり者扱いされて終わりである。
席替えという教室内のささやかなイベントも、翔真にとっては憂鬱だった。伊織の後ろになれる確率は一体どのくらいなのだろうと、平凡な脳味噌なりに計算を試みる。だが、どう計算するのが正解なのかさっぱりだったため、翔真は粘ることもなくすぐに諦めた。頭から湯気が出そうなほど考え尽くしたとしても、正確なパーセントが導き出せるとは思えない。
手っ取り早く数学教師に質問しに行ってみるか、などと血迷いそうにすらなったが、寸前で正気を取り戻す。馬鹿なことは聞けない。伊織の後ろになれない可能性もあるように、なれる可能性も秘めているのだから、なれないかもと悲観するだけ精神が擦り減るだけだ。
雑に無理やりまとめて自分に言い聞かせた翔真は、自席で隠れてスマホを触った。息をするように自然と、指がSNSを開いた。



