伊織を無闇に傷つけさせないため。相手のことを一番に考えているように見える、使い勝手の良い理由が通用しなくなった。話さない理由を取り上げられてしまった翔真は、残った燃え滓みたいな頼りない言葉を掻き集めた。偽善の言葉すら残っていなかった。
「あー、えーっと、まあ、ちょっと、いろいろあって、燃えたっていうか、雨宮には、本当、申し訳ないことしたな、っていうか、はは……」
武器などもう既に破壊されている。にも拘らず、往生際の悪い翔真は、暈して誤魔化して笑って済ませ、事なきを得ようと躍起になった。奥歯に物が挟まったような言い草で、伊織が納得してくれるはずもないのに。
「埒が明かないね。歯切れが悪い上に、説明も下手くそそうだから、もういいよ」
「もういい……?」
「スマホ、見せて。そっちの方が早い」
手のひらを向けられた。諦めてくれたのか、と目を輝かせてしまいそうになった直後だった。
安堵の表情をする寸前みたいな半端な顔のまま硬直する。暑さによるものだけではない汗がブワッと吹き出す。伊織の前で正座をさせられている気分に陥る。伊織が得心するまで、足を崩すことすら許されない。伊織の心が不快でなくなるまで、この場からは逃げられない。ずっと、追い詰められたまま。
伊織が悪魔にも死神にも見えた。勝ち目などないのは火を見るよりも明らかなのに、翔真はまだ抵抗を示した。
「す、スマホは、流石に、見せられないっていうか。あ、雨宮だって、ほら、その、恥ずかしいだろ? 他人にスマホ、見られるの。しかもそれが、SNSだなんて。べ、別に変なことは、呟いてないけどさ、リアルとネットだと、やっぱちょっと、違うじゃん? だから、な? 見せたくないっていうか」
「ごちゃごちゃうるさいね。俺は西原が何を投稿していようが、とやかく言うつもりはないよ。俺に見られたら困るような投稿をしていたとしても」
「あー、えーっと、まあ、ちょっと、いろいろあって、燃えたっていうか、雨宮には、本当、申し訳ないことしたな、っていうか、はは……」
武器などもう既に破壊されている。にも拘らず、往生際の悪い翔真は、暈して誤魔化して笑って済ませ、事なきを得ようと躍起になった。奥歯に物が挟まったような言い草で、伊織が納得してくれるはずもないのに。
「埒が明かないね。歯切れが悪い上に、説明も下手くそそうだから、もういいよ」
「もういい……?」
「スマホ、見せて。そっちの方が早い」
手のひらを向けられた。諦めてくれたのか、と目を輝かせてしまいそうになった直後だった。
安堵の表情をする寸前みたいな半端な顔のまま硬直する。暑さによるものだけではない汗がブワッと吹き出す。伊織の前で正座をさせられている気分に陥る。伊織が得心するまで、足を崩すことすら許されない。伊織の心が不快でなくなるまで、この場からは逃げられない。ずっと、追い詰められたまま。
伊織が悪魔にも死神にも見えた。勝ち目などないのは火を見るよりも明らかなのに、翔真はまだ抵抗を示した。
「す、スマホは、流石に、見せられないっていうか。あ、雨宮だって、ほら、その、恥ずかしいだろ? 他人にスマホ、見られるの。しかもそれが、SNSだなんて。べ、別に変なことは、呟いてないけどさ、リアルとネットだと、やっぱちょっと、違うじゃん? だから、な? 見せたくないっていうか」
「ごちゃごちゃうるさいね。俺は西原が何を投稿していようが、とやかく言うつもりはないよ。俺に見られたら困るような投稿をしていたとしても」



