授業に集中したりしなかったりする翔真は、こんな調子だから成績が振るわないのだろう、とまるで他人事のように思った。伊織を気にしすぎるのは良くない。自覚してはいるが、妙案を思いついたとばかりに伊織を親友にし、ネット上で嘘を吐き始めた時から続いているのだ。既に習慣化してしまっている。無論、現実では嘘は吐いていない。伊織にも迷惑はかけていないつもりだ。今後もかけるつもりはない。そのためには、絶対に誰にも知られてはならない。決意を固め、翔真は前を向いた。
「こっち側、消していいか?」
黒板消しを持った教師が先程と同様に生徒に尋ねた。消す時は毎回律儀に聞いてくれる教師に、いいです、大丈夫です、と数人の生徒が答える。確認している以上、まだ消さないでほしければその旨を伝えることも可能だが、そうなったことはほとんどなかった。それでも、ちょっとしたコミュニケーションを取るためにはちょうどいいのかもしれないと翔真は思う。翔真が返事をしたことはなかったが。
生徒のリアクションを受けた教師が、黒板をさらさらと消していく。伊織の書いたバランスの良い文字の羅列も消していく。全てが消えてなくなるまで、翔真は伊織の筆跡を、目に焼き付けんばかりに見つめ続けていた。
「こっち側、消していいか?」
黒板消しを持った教師が先程と同様に生徒に尋ねた。消す時は毎回律儀に聞いてくれる教師に、いいです、大丈夫です、と数人の生徒が答える。確認している以上、まだ消さないでほしければその旨を伝えることも可能だが、そうなったことはほとんどなかった。それでも、ちょっとしたコミュニケーションを取るためにはちょうどいいのかもしれないと翔真は思う。翔真が返事をしたことはなかったが。
生徒のリアクションを受けた教師が、黒板をさらさらと消していく。伊織の書いたバランスの良い文字の羅列も消していく。全てが消えてなくなるまで、翔真は伊織の筆跡を、目に焼き付けんばかりに見つめ続けていた。



