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──翌日。
窓の外はいつも通りの朝の光が差していて、昨晩起きたことが嘘だったかのように空は澄んでいた。
でも、身体の奥に残る重さとまだ抜けきらない緊張が、すべてが現実だったと教えてくる。
あの後、闇オークションは完全に閉鎖された。
警察と Aegisの連携で船は完全に包囲されて、地下に閉じ込められていた人たちも全員無事に解放されたらしい。
証拠は押さえられ、もう二度とあの場所で同じことは繰り返せない。
Nocturneも、黒蛇会も、──そして悠真も、関わっていた人間は全員連行されたと聞いた。
悠真だけは、最後まで抵抗しなかったらしい。
自分から両手を差し出して淡々と手錠を受け入れた、と。
反省も後悔も口にしなかったけど、暴れもしなかったそうだ。
きっと、あの人は最後まで自分の選択を否定しなかったんだと思う。
だからこそあのとき向けられたあの笑みが、今も胸の奥に焼きついて離れない。
銃を撃った指先を、そっと握りしめる。
正しかったのかどうかは今も分からない。
でも、少なくとも——私は、逃げなかった。
ちゃんと過去と向き合って、自分で選んだ結末。
それだけは、胸を張って言える。

