そのキス、契約違反です。




でも。

私は、床に落ちたそれを拾い上げた。



…大丈夫、震えはない。

逃げたいとも思わなかった。


これはもう、過去に縛られた私じゃない。



「……悠真」



名前を呼ぶと、彼は少しだけ目を細めた。

まるで、その一言を待っていたみたいに。



「私はあなたの仲間にはならない」



銃を構えると、視界の向こうで悠真が微笑んだ。



「知ってる」



その笑みはどこか誇らしげで、優しくて、そしてどうしようもなく狂っていて。




引き金に指をかけると、過去が脳裏をよぎる。


あの日。血の匂い。震える手。



もう、過去は振り返らない。



私は迷わず引き金を引くと、乾いた音がホールに響いた。