ここからのことは、あまり覚えていない。
身体が勝手に動いていて。
最初の一人に拳を叩き込む。
倒れる前に髪を掴んで壁に叩きつけると、骨が軋む音。
二人目が背後から掴みかかってきて。
肘を後方に振り抜き、顎に一撃。
そして三人目、四人目。
蹴り、殴り、投げる。
相手が倒れようが、呻こうが、関係なかった。
足りない。
まだ、足りない。
彩葉を泣かせたこと、こんなので許せるわけがない。
恐怖も、屈辱も、全部、こんな一瞬で消えるわけがない。
頭の中では──止まれ、と声がする。
でも、俺の理性はとっくに崩れていた。
全然、足りない。
「……っ」
もう一度拳を振り下ろそうとした瞬間、
「蓮…!」

