そのキス、契約違反です。




「………怖、かった…、」



涙と一緒に、本音がぽろりと溢れ落ちる。



「助けて、って……思っちゃって……」



だめだな、私…。



「こんなんじゃ………護衛、失格…」



…私じゃ蓮の護衛なんて務まらない、
戻れない。


そう思った、その瞬間。



「護衛なんて、いらねぇよ」

「…え…」



久しぶりに聞いた、その言葉。

初めて会った時と同じ。


でも、私を見つめる視線だけがあの頃とは、まるで違っていた。



「そんな理由がなくたって、俺は──」



その言葉の続きを言い切る前。



「蓮くん!!」



律の叫ぶ声と同時に、こちらへ向かってくる黒蛇会の残党。


蓮は私を抱きしめるように庇って、振り下ろされた足を腕で受け止めた。


そのまま迷いなく相手を、反対側へと蹴り飛ばす。

 

私は蓮の背中を見つめたまま、ぎゅっと、ジャケットを握りしめた。