【side彩葉】
オペレーション:lux実行日──。
待機部屋の中央、低いテーブルの上に置かれたのは深い闇を閉じ込めたみたいな真っ黒のミニ丈ドレスだった。
照明を吸い込む布地は艶やかででもどこか冷たい。
私はそれをしばらく見つめてから、ゆっくりと息を吐く。
……律から真実を聞いて、まだそれほど時間は経っていない。
頭では理解しようとしても心は追いついていないまま。
積み重ねてきた記憶が、都合よく消えてくれるわけでもなくて。
胸の奥にはまだ整理のつかない感情が重たい塊みたいに残っている。
……それでも。
今は、任務に集中しよう。
私は黙ってドレスに手を伸ばした。
布を持ち上げる指先がわずかに震える。
それをごまかすみたいに、淡々と着替えを進めた。
背中のファスナーを引き上げる音だけが部屋の中で響く。
鏡に映った自分はどこか現実味がなくて、知らない人を写しているみたいだった。
ノックの音がしたのは、丁度私が着替えを終えた頃。

