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Aegisのボスは、正直掴みどころがない。
普段はやたらとテンションが高くて、冗談みたいな軽口を叩く人だ。
作戦会議の前にコーヒーをこぼして笑っている姿なんてそこらの兄ちゃんと大差ない。
でも、一度“仕事”の話になった瞬間空気ががらりと変わる。
視線が鋭くなって、冗談が一切通じなくなる。
その一瞬の切り替えを俺は何度も見てきた。
ちなみに本名は俺らも知らない。
ボスの、コードネームは Leo。
でも、名前よりも“ボス”って呼び方が一番しっくりくるから結局みんなそう呼んでいる。
俺は今、そのボスの部屋で一人きり。
重厚なデスクを挟んで、真正面に立っていた。
「君がその目をする時は、何か企んでいる時だね」
軽い口調だけど、その目はすでに“仕事の顔”だった。
俺はごくりと唾を飲み込む。
怯むな。
ここで怯んだら、全部終わる。
「“シークレットオペレーション: Dazzle”について」
その言葉に、空気が一瞬で張りつめた。
さっきまで机に預けられていたボスの指が止まり、視線が俺を射抜く。
一拍置くことすらなく、即答だった。
「却下だ」
あまりにも早すぎて、思わず眉が動いた。

