そのキス、契約違反です。




………だから、弾の軌道がずれた。



普通なら分からない。

現場にいるほとんどの人間は、気づきもしないレベル。


でも、俺には分かった。



同時に俺も引き金を引いていて、水城怜はその場に崩れ落ちる。



そして少女も、力を失ったようにその場に座り込んだ。


自分が撃ったと、思ったまま。


近くに倒れている人のそばで、その子は声を殺して泣いていた。



「…………おいてかないでよっ…」



さっきまでの戦場に馴染んだ背中は、もうなかった


そこにいたのは、ただの女の子で。


まるで、そこに倒れている二人が自分の親であるかのように。



── Aegis(イージス)はとにかく仕事が早い。

表に出ない代わりに、後処理の速度と正確さは何よりも重視される。



そして特殊素材の弾丸は、回収時に誰のものかが分かる。


俺の見た通り、心臓を撃ち抜いたのは間違いなく俺の弾だった。



でも、今回の任務は極秘。


Nocturne(ノクターン)に手を出し、万が一失敗した場合。

今後の Aegis(イージス)がどうなるかわからないぐらいのリスクを伴っていた。