そのキス、契約違反です。





「……あれ、女の子…?」



見渡せば、瓦礫の向こうで銃を持った少女がたったひとりで立っている。



子どもだった。

多分、俺とそこまで変わらないぐらいの年齢。


それなのに、その背中は異様なほど“戦場に馴染んで”いた。

あんなに華奢な体で、周囲の大人たちを次々に倒していく。


全く震えてもいないくて、ただ前を見ている。

その姿から、目が離れなくなった。



「…‥って、集中しろよ、俺」



自分に言い聞かせるように息を整える。


ここは戦場だ。

感情を挟む余地なんて最初からない。


俺の任務は、 Nocturne(ノクターン)の首領、水城 怜を撃つこと。

トップを落とせば、組織は瓦解する。

それがこれまで何度も繰り返されてきた Aegis(イージス)のやり方だ。

この組織を放置すべきではないと判断したのだろう。


俺は建物の奥、瓦礫と影が入り混じる位置に身を潜めて静かに銃を構えた。



同時にその少女も、銃を構えたのが視界に入る。



ほぼ、同時だったと思う。


彼女が引き金を引いた瞬間、ほんの一瞬ためらいがあった。