【side律】
俺が Aegisにスカウトされた理由は、
「正義」なんて言葉とは、たぶん一生交わらない。
そんな綺麗なものに縋った覚えはないし。
期待したこともない。
物心ついた頃には、俺の両親はいなかった。
写真の中の顔は知っているけど、ほとんど覚えていない。
そのあと俺を引き取ったのは、遠縁だという男女二人だった。
血は繋がっていなかったけど、それでも一応、“家族”と呼べる存在だったんだと思う。
…でも、その二人もある日突然、いなくなった。
後になって知ったのは、二人は Aegisという組織の関係者で、
内部の裏切り者による情報リークに巻き込まれて命を落とした、という事実だけ。
血の繋がりはなくても育ててくれた時間は確かにあった。
それが全部、あっけなく終わった。
…まあでも、育ててくれた2人も同情で俺を拾ってくれただけ。
俺の人生は、誰にも本気で必要とされたことがない人生だった。

