そのキス、契約違反です。




…… Aegis(イージス)では、一人一人にコードネームのイニシャルが刻まれた、色の違う銃弾が支給される。


後から、誰が撃ったのかを把握するために。


(ソル)のイニシャルは、S。

灰色の銃弾を使っていることも、私は知っている。


……これは。

律の、銃弾。



じゃあ、この黒い弾は……。

多分。
きっと。


私が、撃ったもの。



「彩葉が撃った弾は水城怜の袖を掠っただけ。同時に俺が、心臓を撃ち抜いた。」

「……え……」



冗談なんじゃないかと思った。

でも、この報告書が全てを物語っている。

そもそも、報告書が存在している時点でこれはきちんとした“任務”だったという証拠だ。



「なんで………、うそ…」



震える声でそう言うと、律ははっきりと首を振った。



「嘘じゃない。」



律の視線が、まっすぐ私を捉える。



「……少し、昔話をしてもいい?」



胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。


これは、私がずっと背負ってきた過去の話。


そして……知らなかった“真実”の話。


私は何も言えずに、ただ小さく頷いた。