そのキス、契約違反です。




でも、日付を見て心臓が大きく跳ねた。


この報告書の日付。

……あの日と、同じだ。


私が引き金を引いた、あの日。



「8年前。俺はあの場にいた」



思考が、追いつかない。



「え、待って、どういうこと……?」



あの場に、いた?

律は静かに言った。



「……あのね、彩葉。…水城怜を撃ったのは俺なんだよ」



意味が、わからなかった。


あの時確かに引き金を引いた。

銃声も反動も…全部覚えてる。

弾が当たった瞬間の相手の動きだって見た。



「ごめん、言ってる意味がわからないんだけど……」



律は私の隣に腰を下ろして、報告書をもう一枚めくった。


そこには、いくつもの現場写真。

……間違いない。


8年前の、あの日。

壊れた建物、血の跡。
見覚えのある構図。



そして、ファイルの奥。

ジップロックに入れられた、ふたつの銃弾。


一つは、黒。

もう一つは、少し血痕のようなものが残る灰色の弾。

そこには、小さく“S”の文字が掘られていた。