そのキス、契約違反です。





私は、律にこんなことさせていい立場じゃない。


…そんな、蓮の代わりみたいになんて。



「それも分かった上で言ってんの」

「………律って、私に甘すぎじゃない…?」

「今更?」



くすっと笑う声が上から落ちてくる。



「……まぁでも、彩葉ならそう言うと思ってた。それに、こんな提案する俺の方が都合良すぎると思うよ?」

「え……?」



それから、そっと私の肩から手を離す。



「恋愛って、タイミングが大事ってよく言うじゃん」



……それは、そうかもしれない。

弱ってる時に優しくされたら、勘違いだって起きやすい。



「俺サイテーだからさ。彩葉が蓮くんと出会わなかったらどうなってたんだろうなーって考えたの」



…もし私が、蓮と出会っていなかったら。



「……でも、あいつがいなかったら俺は多分、彩葉にこの気持ち、ちゃんと伝えてないと思う」



……律…。



「って、こんなこと言われても困っちゃうか。」



そう笑って、また頭を撫でられる。



「つまり何が言いたいかってさ、いつでも頼っていいよってこと。たまには年下らしく、年上には甘えていいの」



律は、それ以上なにも言わなかった。


私が落ち着くまで、ただ静かに隣にいてくれた。