そのキス、契約違反です。




蓮は護衛対象だけど、

それでも蓮は、自分で戦える力がある。


「っ……!」



肩を後ろからナイフが掠め、腕に鋭い痛みが走った。


余所見してる場合じゃない…!


振り返った瞬間、背後から影が落ちた。


律が男の首元を掴み、そのまま地面へ叩き伏せる。



「……彩葉に触るな」



相手の腕を踏みつけ、ナイフを奪うと躊躇なく地面に突き立てる。


……四人とも、完全に動けなくなった。


それなのに。

胸の奥が、ざわつく。


この、嫌な空気は……何?



そして、視界に入ってしまった。

──地面に転がった敵の胸元。


月明かりに照らされて、はっきり見えるピンバッジ。



また、 Nocturne(ノクターン)………。



気づいた途端、心臓が跳ね上がる。

ばくん、ばくんと、耳の奥で音を立てた。