どこに?
と一瞬だけ疑問に思うが、すぐにその場所に見当がつく。
なにかの発明を発表するとなれば、間違いなく王都……ひいては国王様に対してだろう。
しかしそこまで大々的に発表するほどのことなのかと、アウルは自分で作った魔道具の評価にいまだに違和感を抱いている。
「これだけの発明を公にせず、この場だけに収めておくのはあまりにも惜しい。この技術は送風機だけではなく、他の設備での応用も可能なはずだ」
「ほかのせつび……」
「そして国に発明の有用性を認められたら、第一発見者としてその功績を大いに称えられることになる」
「な、なんかこわいでしゅ……」
「別に悪者になるわけじゃない。最初にこの発明をして、人々の暮らしをより豊かにした人物だと褒められるだけだ」
クロウはアウルにもわかりやすいように、噛み砕いた言葉で説明してくれる。
アウルとしては言葉の意味がわからなかったというより、予想以上の反応をされたことが怖いと思っていた。
それを知る由もなく、クロウはアウルに言い聞かせるように続ける。
「そうなればたくさんの褒美をもらうことができる。アウルの好物であるアップルパイもホイップクリームも満腹になるまで食べられるかもしれない」
次いでクロウは、同じ目線の高さになるように前で屈むと、肩に手を置いてきて続けた。
「そしてその功績は、必ずアウルの今後の人生においても役に立つはずだ」
「こんごの……?」
「今のこの時世だ。自分の身の回りでなにが起こるかわからない。もしかしたら明日、このマグノリア領で大災害が起き、今の暮らしが脅かされる可能性だってある」
絶対にない、とは確かに言えないことかもしれない。
明日か明後日か、あるいはもしかしたらこの後すぐになにかしらの事件が起きて、今の屋敷での生活が続けられなくなる可能性はほんのわずかにはあるだろう。
いや、この魔物被害と自然災害の多いマグノリア領だ。可能性としては充分にあり得るとまで言える。
「この屋敷もなくなり、俺たちもいなくなり、アウルがまたひとりになるようなことがあるかもしれない。しかしもしそうなったとしても、なにかひとつ大きな功績が残されていれば、その才覚を買って必ず誰かがまたアウルを拾ってくれるはずだ。誰からも必要とされずに見捨てられることがなくなるんだ」
「……」
クロウはもしもの時のための保険を、アウルに作ってくれようとしているのだ。

