「あっ、申し訳ございません。ボサボサのまま来てしまって……」
「別に構わない。それより、羽根の形を変えるというのはこういうことだったのか。なるほど、確かに風が送りやすそうだ」
クロウがさっそく送風機をまじまじと見てくれて、アウルは得意げな気持ちになる。
前世から持ってきた知識をそのまま流用しただけなので、別に完全に自分の発明というわけではなかったけれど。
ともあれクロウにも興味を持ってもらえたようで、彼は送風機を指で差しながら尋ねてきた。
「起動してみてもいいか?」
「はい! ぜひためちてくだしゃい!」
快く承諾すると、クロウは躊躇うことなく送風機のスイッチに指を伸ばす。
カチッという音が執務室に鳴ると、送風機の羽根が回転し、クロウの黒髪もアウルとロビン同様ぶわっ!と花開いたのだった。
送風機から放たれる強風をその身で受けて、クロウは見るからに驚愕している。
ほどなくしてスイッチを切ると、彼は思った以上に神妙な面持ちで呟き始めた。
「羽根の形でここまで変わるとはな。この湾曲した羽根は、もしやとてつもない発見かもしれん」
「えっ?」
とてつもない発見?
そこまで大それたことをした覚えはないのだが……
と、呑気に構えていたアウルは、さらに続けられたクロウの台詞によって、声を出して驚くこととなった。
「この羽根の構造は風車や水車に利用することもできるかもしれない。いや、詳しい原理を解明するために、この羽根の形ひとつで国が動く可能性すらある」
「えぇ!?」
前世で使った覚えのある扇風機を再現するために送風機を作っただけなのに。
よもや国を動かすほどに発展するとは思ってもみなかった。
実際、自分がやったことなんて現存の送風機の羽根を少しいじっただけなのだから。
(そんなレベルにすごい発明だったんだ、湾曲羽根って)
気流やら空気抵抗やら難しい原理を応用しているというのは知っている。
けどぼんやりとした知識なので、原理を説明しろと言われても絶対に無理だ。
というか、湾曲羽根がいかにすごいかを一目見ただけで悟ったクロウが、一番とんでもないのではないだろうか?
そう思いながらクロウを見つめていると、彼は顎に手を当てながら目を瞑って、しばらく黙り込んでいた。
なにかを深く考え込んでいる様子で、やがて目を開けるとこちらに視線を向けてくる。
「アウル、もしよければこの湾曲した羽根、ならびに湾曲送風機について、アウルの名前で正式に発表してみないか」
「はっぴょう……?」

