そして次はいよいよ改良部分の羽根の製作である。
レシピにあるような真っ直ぐな羽根ではない。前の世界でお世話になっていた扇風機と同じ形にするのだ。
羽根の素材に魔力を流し込み、前世で見た扇風機を思い出しながら同じ形に変えていく。
他の素材と違ってかなり時間をかけながら魔力を流し込み続けると、なんとも形容しがたいぐるんっと湾曲した羽根が一枚完成した。
出来栄えはまあまあ。もう少し扇風機の形に近づけられるかと思ったけど、最初にしてはよくできた方ではないだろうか。
「不思議な形の羽根ですね。これで風をたくさん送れるようになるんですか?」
「うーん、たぶん?」
「私はその理屈をよくわかっていないのですけど、どうしてアウル様はこの羽根のことをご存じなのですか?」
魔道具製作を見守っていたロビンから思わぬ問いかけを受けることになる。
そういえばこの羽根を思いついた経緯は話していなかった。
異世界から来たということは秘密にしているので、とりあえずそれらしいことを言っておく。
「ほ、ほんでよんだことある!」
「なるほど! 色々な書物を読むうちに多方面の知識を身につけられて、そこから着想を得たのですね!」
下手な言い訳だったけれどなんか上手くごまかせた。
勝手にいいように解釈してくれて助かる。
ただ一方でロビンの純粋さを目の当たりにして少し心配になってしまった。
彼女は多才で侍女としての能力も高いけど、たまにあまりにも無垢すぎて簡単に騙されてしまわないかと不安になる。
ともあれそんなロビンに見守られながら作業を進めていき、やがて湾曲した羽根を五枚完成させることができた。
あとはすべての素材を結合させてひとつの魔道具にするだけ。
素材内部の魔力もぎりぎりまで増幅させたので、充分いい風を出してくれるのではないだろうか。
「できたー!」
部品同士をレシピ通りにくっつけると、見事に湾曲羽根の送風機が完成した。

