転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


「いや、アウルの魔力なら加工については心配要らないだろう。むしろ莫大な魔力量のアウルだからこそできる改良だと言える。このマグノリア領に出没する魔物らの素材で材料は揃えられるし、最初に手掛ける魔道具としては最適じゃないか」

 これまたクロウに高く買ってもらっているとわかって、アウルは密かに嬉しい気持ちになる。
 それと送風機の選択も最適なものだと言ってもらえてますますやる気がみなぎってきた。
 強力な送風機を作ってやるぜ!と内心で意気込んでいると、不意にクロウがなにげない様子で聞いてきた。

「ところで、どうして送風機を作ろうと思ったんだ?」

「えっ、どうちて?」

「いや、火や雷に関連した魔道具は禁止と言ったが、それ以外でも多くの選択肢があると思ってな。その中で送風機を選んだ特別な理由でもあるのかと、少し気になっただけだ」

 言われてみれば選択肢はかなり多かったように思える。
 その中であえて実用的ではなく積極的な生産も行われていない送風機を選んだとなれば、クロウの疑問も当然のものだ。
 無論、アウルもテキトーに送風機を選んだわけではない。
 この選択には確かな理由が存在していた。

「さいきんあちゅくなってきて、やしきのみんなたいへんしょうだから」

「屋敷の使用人たちが、少しでも快適に過ごせるようにするためか」

「うん。あと、クロウおにいしゃまも」

「俺も?」

「このへや、いつもあちゅいから、むりしたらたおれちゃう。ちょっとでもかぜにあたらないと、いけないとおもって」

「……そうか」

 今の時期は夏目前。日頃暑そうに仕事をしている使用人たちを最近見かけるので、彼らの役に立つ魔道具でも作ろうかなと思ったのだ。
 送風機の改良が上手くいけば、わざわざ濡れタオルで首を冷やしたり、井戸水に足をつけて涼を取る必要はなくなるはず。
 元よりこの屋敷の人たちの役に立てるように魔道具製作をしたいと思ったので、送風機の選択は当然の帰結であったと言えるだろう。
 その旨を伝えると、相変わらず無表情なクロウが、心なしかほんのわずかに頬を緩めたような、そんな気がした。

「……周りのことがよく見えているんだな」

「えっ?」

「いいや。送風機の製作について許可する。好きにやってみろ、アウル」

「……はい、あいがとうございましゅ!」

 改めてクロウから送風機製作の許可をもらい、初めての魔道具作りに挑戦することになったのだった。