転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 母のマーレットは先日病気で他界してしまった。
 産後の体調不良が長引いた結果で、アウルはその死を目の当たりにした。
 三歳ながら母との別れを理解したアウルは一晩中泣きじゃくり、泣き疲れたせいか高熱を出して倒れてしまったのだ。
 そして目を覚ましたら、白鳥翼の意識がアウル・ダスターの中に宿っていた。

(そういう流れだったのか。まさに最悪のタイミングでの異世界転生じゃないか……! 確実に神様の恩情やお詫びなんかじゃない)

 ともあれ、これで理解した。
 この異世界転生は決して恵まれたものではないということ。
 単純にまた自分の不幸体質が招いてしまった不運な出来事ということを。
 でなければこれだけ最悪の状況の子供に転生なんてするわけがない。
 周りに味方が一切おらず、才能なしだと蔑まれている三歳児になんて。

(本当に、いいことないな)

 またろくでもない人生を歩まなきゃいけない。その事実にアウルは絶望する。
 しかしこれは、本当の不幸の序章に過ぎなかった。

「これから俺の妻になるヒルマイナだ。前の母であるマーレットのことはもう忘れろ」

 アウル・ダスターとして目覚めてから二カ月後。
 ダスター家に継母がやってきた。