ちなみに今は私室で勉強中である。
せっかくロビンに魔法の座学をしてもらっていたが、甘味欲が留まるところを知らずについ思考が脱線してしまった。
こんな風に勉強に集中できないなどの弊害もあるため、やはり早急にホイップクリームを摂取する必要がある。
「ごめん、ちょっとかんがえごとちてた」
「考え事? 魔法についてわからないところでもありましたか?」
「ううん、そうじゃない。ロビンのおちえかた、とってもじょうず」
「ふふっ、ありがとうございます」
ロビンは嬉しそうに頬を緩めて、アウルの銀髪を上機嫌に撫でた。
侍女という立場上、あくまでアウルは目上の人間なので頭を撫でるなど言語道断ではある。
しかし前に勢いで撫でてしまった時にアウルがそれを容認したので、それからよくロビンはアウルの頭を撫でるようになった。
そんな風に頭を撫でられながら、アウルはホイップクリーム作りのために改めてロビンに確認を取っておく。
「ねえロビン、なまクリームってありゅ?」
「えっ、生クリームですか? 地下の貯蔵庫に行けばありますけど」
「じゃあ、〝あわだてき〟ってありゅ?」
「泡立て器? って、なんですかそれ?」
確認完了。
やはりこの世界にホイップクリームは存在していない。
そしてその理由は、〝泡立てる〟という調理工程が概念として存在していないからだ。

