甘味好きの白鳥翼は、中でもホイップクリームが特に大好物だった。
そんじゃそこらのホイップクリーム好きとは違う。異常とも言えるほどのホイップクリーム好きである。
自宅の冷凍庫には大容量の冷凍ホイップクリームが常備されており、アイスやトーストを食べる時にいつもトッピングとしてこんもりと盛っている。
いちごのショートケーキを食べる時も、いちごを最後まで取っておく人が多い中、ホイップクリームの方を掬(すく)って皿の端に取っておくという特殊な食べ方をしている。
ついには動物性と植物性の違いまで気にするようになり、お菓子作りでホイップクリームを使う時は必ずコクがあって滑らかな動物性の生クリームを買うようにしていた。
(あぁ、ホイップクリームたっぷりのホールケーキが食べたい……! いや、ホイップクリームたっぷりのホイップクリームが食べたいよー!)
そんなわけのわからないことを脳内でのたまうくらい、大のホイップクリーム好きである。
しかしこの世界、残酷なことにホイップクリームが〝存在していない〟。
食文化がそこまで発展していないため、ホイップクリームがまだ開発されていないのだ。
というのを転生してからすぐにアウルは知った。
まあ食文化的にも仕方がないと、アウルは最近まで諦めていたが、クロウのアップルパイを食べたことで諦めていた心に火がついてしまった。
あれだけ上等なスイーツがあるのなら、ホイップクリームがあったっていいじゃないかと。
せめてホイップクリームに代わるなにかくらいはあってもいいじゃないかと。
(ダ、ダメだ。やっぱりホイップクリームが食べたい……。こうなったらもう〝作ろう〟。自分で作るしかない……!)
この暴走している甘味欲、もといホイップクリーム欲を抑えるためにはもう作ってしまうしかない。
代用品とかで埋められる欲求ではないのだ。
それにもしホイップクリームを作ることができたら、お世話になっているこの屋敷の人たちにも食べてもらえる。
大好きなホイップクリームの美味しさを味わってもらえるのだ。
恩返しの一環にもなるしやってみることにしよう。
まあホイップクリームが苦手って人も多いから、みんながみんな美味しく食べられるわけじゃないだろうけど。
「なにを頷いているのですか、アウル様?」
ホイップクリーム作りへの決意を固めてこくこく頷いていると、その様子を見ていた侍女のロビンが怪訝な目を向けてきた。

