氷を配る旅は三日で終わった。
少しずつ休憩を挟みながらだったが、アウルはまったく魔力枯渇を感じることなく役目を果たすことができた。
改めてアウルの規格外の魔力量が浮き彫りになり、帰り際にクロウとストークは思わずこう話していた。
「これだけの大仕事をやったというのに、アウル様はすごく元気ですね。まだまだ魔力に余裕があるということでしょうか?」
「だろうな。末恐ろしい子供だ」
そんなふたりと共に領都の屋敷に帰ると、出迎えてくれた使用人から思わぬことを伝えられた。
「領内の村からクロウ様にお荷物が届いております。それと、アウル様とフェンリル様にも」
「えっ?」
それは氷を供給した村、ひいては領民たちからの感謝の品々だった。
クロウに向けられたものは当然ながら、アウルとフェンリルに感謝を示すお菓子やおもちゃなどもたくさんあった。
「これ、ぜんぶもらっていいんでしゅか!?」
「アウルとフェンリルに向けられたものだ。遠慮せずもらっておけ」
思いがけない収穫にアウルは大喜びし、感謝の品々をワクワクしながら開封していく。
そんな中、クロウも改まった様子で感謝を示してきた。
「マグノリア領の領主として、俺からも改めて礼を言う。今回は本当に助かった、アウル、フェンリル」
「……え、えへへ」
あのクロウに褒められた。
感謝の言葉を伝えられた。
なんとも光栄なことで思わず笑みがこぼれてしまう。
才能もなにもなくて無能と蔑まれていた自分でも、ちゃんとみんなの役に立てることがわかった。
これからももっとできることを増やしていって、クロウや領地の人たちを手助けしていこうとアウルは心に誓った。
「これだけの大業を成し遂げたのだ。俺からもなにか褒美を用意しなければな。アウル、欲しいものはあるか?」
「ほちいもの……?」
クロウから突然そう問いかけられる。
なにかもらえるというのはありがたい限りだったが、今パッと思いつくような欲しいものは残念ながらなかった。
(あっ、でも……)
アウルはふとクロウの大きな手を見て、精霊フェンリルを顕現させた時のことを思い出す。

