その氷山を削って氷室に入れたり、必要な村人たちが分け合う姿を眺めながら、アウルはクロウに問いかける。
「こ、これで、いいでしゅか?」
「あぁ、大したものだ」
クロウにも成果を認めてもらえて、アウルは心の中でぐっと拳を握りしめた。
契約精霊の氷狼フェンリルに上手く魔力を与えることができて、無事に氷を生成することができた。
自分でもみんなの役に立てるという証明になり、自信にも繋がる。
と、喜びを噛みしめていると、不意にクロウがアウルとフェンリルの前に膝をついて顔を窺ってきた。
「それよりふたりの方はなんともないか? 体調に変化は?」
「はい、だいじょうぶでしゅ!」
「ガウガウ!」
魔力消費による疲労感はまったくない。
莫大な量の魔力のおかげで、この程度ならば消費したうちには入らないようだ。
かなり大きな氷を作ったつもりだけど、もっと大きくして量を増やしてもよさそうだ。
「よし、この調子で他の町や村にも氷を配っていくぞ。ただしなにか体の不調を感じたらすぐに伝えろ」
「わかりまちた!」
アウルはクロウの指示に従い、次の村へ向かうべく馬車へ乗り込もうとする。
その時、後ろから村人に声をかけられて、クロウ共々足を止めた。
「あの、この度は本当にありがとうございました! そちらのお子様の名前を、改めてお伺いしてもよろしいですか?」
「アウルだ。アウル・エグレット。そして狼の方はフェンリルという」
クロウからの紹介で名前を明かしたアウルは、同時にペコリと村人にお辞儀をする。
フェンリルもアウルを真似てかカクンと頭を下げると、村人たちが感謝の声をあげた。
「アウル様、フェンリル様。村を助けていただいてありがとうございます!」
「これで夏を乗り切ることができます!」
「物静かなところではありますが、ぜひ今度遊びにいらしてください」
村を救ったおかげで、みんなに名前と顔を知ってもらうことができた。
馬車で村から出発する時、みんなから手も振ってもらい、短い腕で懸命に小さな手を振り返しながら次なる村へと向かう。
そうして村から村に転々としながら氷を供給していくと、やがて氷不足に陥っていたすべての町や村に、アウルとフェンリル特製の氷を行き届けることができたのだった。

