転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 アウル……アウル・ダスター。
 知らないはずのその名前を、なぜか知っている。
 そう、アウル・ダスターとは自分のことだ。
 中央大陸の北部に位置するこのアッシュ王国にて、ひとつの領地を任されているダスター伯爵家。
 その家に生まれた第一子で、現在は三歳の幼き男児。
 そんなアウル・ダスターと白鳥翼の二者の記憶が、頭の中に混在している。
 なにより驚きなのは、この家が〝魔法使い〟の名家であり、自然界には恐ろしい異形の怪物である〝魔物〟が闊(かっ)歩(ぽ)していることだった。

(元の世界の常識とはまったく違う。もしかしてここは異世界……? フィクションにあるような異世界転生をしたってことなのか?)

 そうでなければ説明がつかない。
 魔法と魔物が存在している世界なんて。二者の記憶が入り混じっている状況なんて。
 それにとても夢とは思えないほどのリアル感だ。
 異世界転生をしたと結論付けることでしか、今の状況を説明する術は……自分を納得させられる術はなかった。

「あの、大丈夫ですかアウル様? ぼんやりしているご様子ですが」

「な、なんでもない……よ」

「はぁ、そうですか」

 気(け)だるげな様子のメイド、もといダスター家の使用人から再び問いかけられて、アウルはごまかすように返答する。
 なぜこんな世界に来てしまったのかは定かではないが、他の人間に異世界転生のことを話すのはやめておいた方がよさそうと判断した。
 話したところで信じてもらえるかわからないし、仮に信じてもらえたとしても異世界転生者に対する認識がどうなっているかわからない以上は、下手なことはしない方がいいと思う。
 もしかしたら異端者として処分される可能性もある。この世界のことを詳しく知るまでは三歳児のアウル・ダスターとして過ごした方が無難だ。

「まあ昨日から〝熱〟を出して寝込んでいましたから、まだ病み上がりでぼぉーっとしているのでしょう」

「ねちゅ……」

 使用人のその言葉に、今さらながら自分が熱を出していたことを知る。