噂に聞く血染めの貴公子の実力を、ぜひともこの目で見てみたい。
しかしついていきたいと言っても断られてしまう可能性が高いだろう。
危険な魔物の住処に足を踏み入れるわけだから当然だ。
であれば内緒でついていく? でもどうやって屋敷から出ればいい?
仮に屋敷から抜け出せたとしても、領都の門番をどうかい潜ればいいだろうか?
(そもそも屋敷内で姿が見えなくなったら、大パニックになるはずだよなぁ)
など頭をこねくり回してみたが良案は出ず、もうクロウは部屋を出ていく寸前だった。
アウルは観念し、正直にお願いすることにした。
「あ、あの、クロウおにいしゃま……」
「んっ? なんだアウル?」
「ぼくも、ついていきたいでしゅ」
「えっ?」
声をあげたのは従者のストークだった。
よもや危険な魔物討伐についていきたいと言うとは思わなかったのだろう。
唖然とした顔でアウルの方を振り返っており、対してクロウはなにも言わずにアウルを見据えている。
「クロウおにいしゃまのたたかい、みてみたいでしゅ。ダメでしゅか?」
「アウル様、いくらなんでもそれは……」
「いいだろう」
「えっ?」
クロウからまさかの答えが返ってくる。
ダメ元でお願いしたので、思いがけず了承されてアウルはびっくりした。
ただクロウも気まぐれで承諾したわけではないようだ。
「経験は大事だ。実際に魔物討伐を見るのもよい勉強になる。だが俺のそばから絶対に離れるな」
「さ、さすがに危険すぎますクロウ様! いくらクロウ様がご一緒とはいえ……」
さすがにストークは危機感を抱いたようで、アウルを連れていくことに反対の意思を示した。
しかし……
「なにかあれば俺が責任を取る。ストークは気にせず氷の手配を進めてくれ」
「……クロウ様が、そう仰るのでしたら」
自分で責任を取ると言われてしまえば、ストークに返せる言葉はなかった。
そんなやり取りを呆然と見つめていると、クロウが「早く来い」と言うように視線で促してきて、慌てて彼の後を追いかける。
フェンリルもついてこようとしたので、両手で制して言い聞かせた。

