方法としては至ってシンプルだ。
氷がなくなってしまった場所に、アウルとフェンリルが向かう。
そこでふたりで氷を生成し、氷室に突っ込んでパンパンにする。
で、次の町村へ行ってまた氷を作る……
それを繰り返していけば領内の氷不足は解消されるというわけだ。
そのための手配をクロウは手早く進めてくれて、いつでもアウルとフェンリルが出発できるように準備をしてくれた。
後は氷室が高温化してしまった原因を探るだけ。
そもそもの問題としてそれを解決できなければ、またすぐに氷が溶けてしまう。
しかしそれも上記の手配を進めている最中に、クロウが向かわせていた調査隊が見事に突き止めてくれた。
「マグノリア領のブランチの森深くに地下洞窟があり、そこを住処にしている魔物が氷室の高温化を誘発している可能性が高いです」
「魔物の仕業か。概ね予想通りだったな」
どうやらクロウは氷室高温化の原因に、ある程度の目星をつけていたらしく、魔物の線で各地に調査隊を向かわせていたようだ。
執務室でクロウと調査隊のやり取りを、アウルは静かに見守り続ける。
「かなり凶悪な魔物のため、早急に討伐隊を編成し駆除に向かわせます。申し訳ございませんが、今しばらくお時間をいただけたら……」
「いい。俺が向かう」
「えっ?」
執務室に報告に来た調査隊にそう返すと、クロウは壁のフックにかけていた薄手のコートを取って羽織り始める。
「俺がひとりで行った方が早いからな。なにより氷室の件は領民たちにとって大きすぎる問題だ。できる限り手早く片付けてしまった方がいい」
「しょ、承知しました」
調査隊の人はクロウの判断を受け入れると、すぐに執務室から去っていった。
クロウほどの人物の判断に簡単に口出しできない、というのもあるのだろうが、クロウの実力なら実行可能だと思って頷いたのだろう。
早々に身支度を済ませたクロウは、部屋を出ようとした直前で足を止めて、執務室にいた従者のストークに告げた。
「少しの間だが、留守は任せたぞストーク」
「はい。承知しましたクロウ様」
調査隊の人と同じく、クロウの実力を知っているからこその即答。
討伐隊を結成して挑まなければならないと判断されるほどの魔物を、単身で討伐しにいこうとする。
そんな無茶が許されるのが、このクロウ・エグレットという男なのだ。
現代でも指折りの魔法使いと評されている男が、凶悪な魔物とこれから戦う。
その響きに、アウルは興奮を禁じ得なかった。
(やべぇ、超見たい……!)

