「本来魔力の感覚というのは、魔法を使っていく中で徐々に掴んでいくものですからね。魔力に色がない無属性の人は、とっかかりがなくて魔力の感覚を掴めないまま生涯を終えることが多いとも聞きます」

「まほうは、まりょくのかんかくなくても、つかえるの?」

「はい。イメージだけで使えますよ」

 ロビンは右手の平に小さくて弱々しい竜巻を作ってくれる。
 魔力に色があればこのようにして、イメージだけで魔法を発動できると実演してくれた。
 ちなみにロビンの魔力は緑色で風属性の魔法が使えるらしい。

「こうして魔法を使っていく中で、自分の体の中にある魔力が魔法に変換されている感覚を、少しずつ感じ取っていけるのです」

「いまも、かんじてる?」

「そうですね。お腹の奥底にあるもやっとしたなにかが、右手に移動して竜巻に変わっている感覚があります」

 あまりにニュアンスすぎてアウルは渋い顔をしてしまった。
 お腹の奥底? もやっとしたなにか?
 むむむっと集中してお腹に意識を向けてみても、お昼前ということもあって空きっ腹しか感じ取れない。
 お腹をさすさすと撫でながら眉を寄せていると、ロビンが微笑んで続けた。

「とにかく焦らずじっくり、色々と試してみましょうか。魔道具の中には持った人の魔力を消費して起動させるものもあって、それらを触っているうちに感覚が掴めた人もいると聞いたことがありますので」

 すでにその魔道具を王都の方から取り寄せているみたいで、数日後に届く予定ということだ。
 それまではロビンが持ち合わせている魔力の知識と感覚を、座学で教えてもらうことになる。
 アウルはそれを前のめりになって聞いた。