先にクロウがキャビンから降りていき、「出てこい」と促すように首を振ってきたので、アウルも恐る恐る外へと出た。
すると使用人たちの視線が殺到し、彼ら彼女らは揃って目を丸くする。
「こ、子供?」
「いったいどちらの……?」
「クロウ様のご親戚でしょうか?」
使用人の間で疑問の声が飛び交う中、その視線に晒されてアウルは委縮してしまう。
実家で使用人たちに冷たくされていた苦い思い出が蘇ってきてしまう。
アウルが黙り込む中、クロウはコートを使用人に脱がせてもらいながら従者のストークに言った。
「では、あとは頼んだぞストーク」
「かしこまりました、クロウ様」
なにを、とわざわざ確認するまでもなくストークは頷く。
そしてクロウは早々に屋敷の中へと入っていき、この場にはアウルとストーク、数人の使用人だけが残された。
変わらず使用人たちから疑問の視線が降り注ぐ中、アウルのことに関してストークが紹介してくれる。
「いきなりのことで驚かせてすまないな。この子の名前はアウル。ブランチの森の視察に赴いた際、森の中で魔物に襲われているところを発見した。おそらく家から追い出された捨て子の可能性が高い」
それを聞き、使用人たちは驚いたように息をのんでいる。
ブランチの森と呼ばれているあの場所は、相当に危険な場所のようでそれはここにいる使用人たちにも周知の事実らしい。
そんな森に子供がたったひとりでいたなど、確かに驚きの出来事だ。
「身なりからして名門家の出自の線が濃厚で、クロウ様からはしばらく屋敷で面倒を見るようにとお達しがあった。手隙の使用人の中で読み書きと計算ができる者を従者としてつけたいのだが、我こそはという者はいないか?」
とても簡潔にまとめられた紹介内容の後、ストークは続け様にアウルの従者を使用人たちの中から募る。
しかしその問いかけにすぐに返答はなく、この場に静寂が訪れた。

