それから夜になって、アウルが正式にこの屋敷の人間になったことを祝う祝宴が催された。
今回は送風機の公表の時と違って立食形式ではなく、まばらに円卓と椅子を設けた着席形式で、かつ使用人たちも同席してくれる。
そのため食堂は賑やかな雰囲気に包まれていた。
当然みんな見知っている顔なので、どの席に座ろうか迷っていると、不意にクロウが抱えてきて彼の席まで連れていかれる。
気が付けばクロウの膝の上に乗せられており、何事かと思いながら首を傾げて彼を見上げた。
「円卓と椅子が少し高いだろう。ここに座れ」
「えっ、でも……」
「いいから」
恩人の膝上を椅子代わりにするのは大変心苦しいと思ったが、有無を言わさぬ勢いで言われてしまってはアウルに成す術はなかった。
実際に円卓と椅子が高いなとは思っていたし、なにより一緒に祝宴の食事を楽しめそうでアウルは身を委ねることにする。
周りからもなにやら微笑ましい視線をもらいながら、同時に皆に盛大に祝ってもらえることになった。
「アウル様、ご実家の件が落ち着いたとのことで本当によかったですね!」
「これからもご一緒に、このお屋敷で暮らしていきましょう!」
「ご実家でのことを聞いた時は本当にかわいそうでかわいそうで……」
実家が魔法使いの名家でそこを追い出された身であることは、すでに周知の事実となっている。
だから使用人たちは慰めるように、改めて温かい言葉をかけてくれた。
屋敷の人たちが珍しく揃って羽を伸ばせる機会でもあるため、各々が自由に歓談する様子が広がっている。
アウルもクロウと一緒の席で食事を楽しみ、なんとクロウが料理を掬って食べさせてくれたりもした。
さらに奥の方の料理は取りづらいだろうと言って器によそってくれたり、口の端が汚れるやすかさず手巾で拭ってくれたり……
膝上に乗せられているだけでも恥ずかしいのに、甲斐甲斐しく世話を焼かれてさすがに照れてしまった。
けれどそれ以上に、クロウが自分のことを大事にしてくれていることが伝わってきて、アウルは密かに嬉しく思う。
それから祝宴の時間は瞬く間に過ぎていき、腹も八分目辺りに差しかかった頃。
いよいよアウルたち手製のデコレーションケーキがお目見えとなった。

