転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 ボウルに卵と砂糖を入れて、かき混ぜるために用意した小さな枝(えだ)箒(ぼうき)を手に持つ。
 この日のために泡立て器でも作れたらと思ったのだが、自分にできるのは魔道具の製作だけで普通の器具はその限りではない。
 もちろん送風機の時みたいに前世の記憶を頼りに、それっぽい形の魔道具を作ることはできただろうが、魔物の素材で作った道具を調理に用いるのはさすがに抵抗があった。
 口に入るものに突っ込むわけなので、泡立て器はまた今度考えることにする。
 それに即席で用意できた枝箒も充分に役割を果たしてくれそうなので、アウルは期待しながら枝箒で卵と砂糖をかき混ぜ始めた。

「おりゃあぁぁー!」

 しかし非力で持久力もない五歳児のアウルでは、枝箒だけでの泡立ては無理だった。
 腕が痛い。肩が重い。それなのに目の前にあるのはまだ半液状の卵液である。
 ボウルを湯煎しながらやれば泡立てやすいと聞いたことがあるのでそれも試したが、残念ながら効果はなさそうだった。
 やはりベーキングパウダーと泡立て器なしでスポンジケーキは無謀だったか、と思っているアウルの横で、クロウの目の前に置かれたボウルの中で独りでに卵液が回転していた。

「えぇぇ!?」

 なんと重力魔法を応用してのかき混ぜである。
 どういう原理で混ぜているのかはわからないけれど、見るからにハンドミキサー並みの速度で卵液がかき混ぜられていた。
 そして見る間に卵液は白っぽくもったりとして、大きな気泡もなくきめ細かい状態にまでなる。

「クロウおにいしゃま、しゅごーい!」