転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 長く感じた三日が経ち、いよいよ祝宴の日となった。
 使用人たちに材料も揃えてもらい、アウルとフェンリルの体調もばっちりなので準備は万端である。
 肝心要のホイップクリームを作るには氷が必要不可欠なので、フェンリルにも力を貸してもらうつもりだ。
 というわけでアウルとクロウ、そしてフェンリルの三人で、早朝の時間帯に屋敷の厨房に立っている。

「朝のうちにケーキ作りを終わらせてしまうぞ。祝宴で出す他の料理は使用人らが作る予定だからな」

「はい!」

 祝宴は夜に行われる。
 そしてケーキだけでは物足りないだろうということで、普通の料理も用意することになっているのだ。
 それは使用人たちが作ってくれる予定なので、早めに厨房を空け渡さないといけない。
 あとスポンジケーキは一晩ほど冷ましてからでないとデコレーションもできず、なにより卵臭さがすごいので置いておく時間が欲しい。
 そのための早朝作業ということだ。
 では早々に取りかかっていくことにする。
 まずは最初にスポンジケーキを焼くので、卵と砂糖を泡立てる。
 で、さっそくであるが、ここが一番重要な工程である。
 この段階でどこまで空気を含ませて泡立てられるかが、仕上がりの際のふわふわ感に直結する。
 そしてこの世界、前の世界にあったような、お菓子を膨らませる際に用いるベーキングパウダーも泡立て器もない。
 だから素材や器具に頼ることなく、人力で充分な泡立てをする必要があるのだ。
 かなり根気のいる作業である。

「よーし、やるじょー!」

 それでも不可能ではないため、袖をぐいっとまくって気合を入れた。