確かにロビンの言う通り作り方を教えて作ってもらうのが効率的ではある。
しかし自分で作ってみたいという気持ちもあり、スポンジケーキには「食べたい」「食べてもらいたい」「作ってみたい」という三つの欲が重なっているのだ。
だからこそこの状況でスポンジケーキを提案した。
ただ今回の祝宴の意味合い的に、ロビンは複雑そうな顔を見せた。
「アウル様の祝宴なのによろしいのでしょうか? 主役は本来働かせてはいけないのでは……」
「まあ菓子作りをしたいという願いを叶えてやるのも、祝いの形としては間違ってはいない。好きにやらせてやればいいさ」
「……確かに、ホイップクリーム作りの時もとても喜ばれておりましたね」
おっ、風向きがよくなった。
と思っていると、ロビンが納得したように頷いた。
「わかりました。ではそのスポンジケーキなるものは、アウル様にお作りしていただきます。私たち使用人は、そのスポンジケーキの材料集めだけお手伝いしますので、それだけは教えてください」
「わかったー!」
スポンジケーキ作りを許してもらえて喜びながら、さっそく材料をメモとして紙に書き起こすことにした。
ガサゴソと紙とペンを入れた箱を漁っていると、傍らからクロウとストークの会話が聞こえてくる。
「ストーク、直近で会合の約束などなにもない日はいつだ?」
「三日後となっております」
「では祝宴は三日後にするか。その日は屋敷に人を招く要件は入れないようにしておけ」
「はっ、承知しました」
ふたりはそう言い合いながら、用事も済ませたため部屋を出ていこうとする。
その時、勝手に足が動いていて、気付けば立ち去ろうとするクロウの裾を捕まえていた。
「んっ、なんだアウル?」
「お、おいわいのひ、いっしょにケーキつくりたいでしゅ」

