その言葉の響きに密かに嬉しさを感じるが、果たしてクロウはそう思ってくれているか気になる。
横目に彼のことを窺ってみると、心なしか表情の変化がないあのクロウが、微かにその頬を緩めている気がした。
直後、クロウは我に返ったように目を見開き、咳払いをひとつ挟んで言う。
「呼び方などなんでもよかろう。アウルはただ、この屋敷の人間たちにとって、ひいてはこの領地において必要不可欠な存在。それがわかっていれば充分ではないか」
なんともクロウらしい答えだと思った。
「当然、兵士や使用人たち一人ひとりも同様にな。アウルはそのうちのひとりになったというだけで、変に身構える必要はない」
そう、肩書や続柄なんてこの際関係ない。
この屋敷にいる人たち一人ひとりが、領地にとって、みんなにとってかけがえのない存在だとわかっていればいい。
そのうちのひとりに正式になることができた。それ以上なにを望むというのだ。
「まあ、アウル様ほどの、神の御業とも思えるような偉業は私たちでは到底成し遂げられませんが」
「そこと比べようとするなストーク。アウルの力に関しては俺でも真似はできん」
どころか世界中を探しても同じことができる人間はいないだろうと、クロウは呆れ気味に付け足した。
褒めてもらえたことを素直に喜んでいると、不意にストークがひとつの提案を出す。
「ともあれアウル様が正式に屋敷の人間になったということで、改めてまたなにかお祝いなどいかがでしょうか?」

