しかし魔力らしきものはまったく感じ取れなかった。
というか焦げ臭さしか感じない。思わず顔をしかめてしまった。
「魔力に関するものに触れていけばいずれ感じ取れるようになる。とはいえこの残骸に残された、限りなくゼロに近い魔力を感じ取れるようになるには、相当な修練が必要だがな」
どうやらこの燃えカスから感じ取れる魔力はかなり微弱なものらしい。
優秀な兵士たちの目があってこそ見つけられたものというわけだ。
これでもそこそこ魔力操作の練習をして、魔力に触れてきた自負があるからなにも感じられなくて少し悔しいが。
「それほどまでにこれを見つけられる人間は限られている。だからこそだろう。奴らはこれを魔道具の残骸ということが誰にもわからないだろうと、高を括って後始末まで考えなかったようだ」
クロウは手に持った燃えカスに目を落としながら、小さく呆れ笑いをこぼす。
「仮に魔道具の残骸だと判明しても、決定的な証拠にはなり得ないだろうと踏んでいたのかもしれない。どこまでもツメが甘いな」
「これ、しょうこになりましゅか?」
「やってみなければわからないが、奴らの罪を暴く鍵になる可能性は少なからずある」
クロウがいったいどのようにして、この燃えカスからドレイクとヒルマイナに繋げるのかまるで想像ができなかった。
これが魔道具の残骸で、今回の火災の原因だと分析できたとしても、誰が仕掛けたものなのかまではわからないはず。
どうやって犯人を炙り出すのだろうかと疑問に思っていると、その答えを返すようにクロウがストークを呼びつけた。
「ストーク、魔法医ピーコックを再び招集してくれ。なるべく急ぎでな」
「はっ、承知しましたクロウ様」
魔法医のピーコック。
前回、アウルの魔力を調べるために呼び出した人物だ。
魔力に関する身体的異常を専門に調べている、言い換えれば魔力に関する専門家。
と、そこでアウルもぼんやりとだが気が付く。
魔道具の残骸から、犯人に繋がる糸口があることに。
「本当にどこまでも、〝魔法〟のことしか眼中にない連中だったな」
クロウはそう言うと、隣で心配そうな面持ちで立つアウルを見て、安心させるように頭にぽんぽんと手を置いた。
「奴らは必ず捕まえてみせる。今度こそ容赦はしない」

