「かべでしゅか?」
「これ以上火の手が広まらないようにするためにな。通常は木や草を取り除いて延焼阻止のための防火帯を作るが、フェンリルの氷魔法で一息に囲ってしまった方が早い」
「わかりまちた!」
すぐに意図を理解したアウルは、さっそくフェンリルを連れて火へと近づいていこうとする。
その時、不意に後ろから右手を握られて、何事かと思って振り向いた。
そこには真剣な眼差しを向けてくるクロウがいて、彼は握る手に一層力を込めて言う。
「気を付けるんだぞ」
「……はい、だいじょうぶでしゅ!」
心から心配してくれている様子が伝わってきて、アウルは安心させるように屈託のない笑みで応えた。
その後、フェンリルと共に火の近くに駆け寄っていく。
ある程度ふたりで規模を観察し、「いけそー?」とフェンリルに尋ねると、自信ありげに「ガウ!」と返してきた。
パッと見た限りでも燃焼地帯は広い。だいたい横幅百メートル奥行き二百メートルといったところか。
サッカーコート三面分とほぼ同じ。木々の高さもかなりある。
それを完全に囲うとなるととてつもなく巨大な氷を生成する必要がある。
だというのにクロウがそう指示を出してきたのは、自分たちに期待をしてくれているから。
その期待が嬉しくて、アウルは密かに頬を緩ませながらフェンリルに手を伸ばす。
「じゃあいくよフェンリルしゃん! ぐるっとこおりのかべをちゅくってね!」
「ガウガウ!」
練習してきた魔力操作でフェンリルに魔力を流し込んでいく。

