アウルは執務室で寝ていたフェンリルを起こし、火事の消火を手伝ってくれるように協力を仰ぐ。
契約精霊だからということを除いても、アウルとその周囲の人々にとてつもなく懐いているフェンリルは、皆のためを思ってふたつ返事で了承してくれた。
その後クロウと一緒に領都の門まで行き、ストークが集めたと思われる兵士たちと合流を果たす。
すでにその場からでも森の火の手がわずかに窺えたが、クロウは焦ることなく兵士たちに命令を出し、着々と森へ向かう準備を進めた。
何人かを屋敷の護衛に向かわせ、何人かに領都内の混乱を収めるよう命じ、残りの兵を消火隊と称してまとめ上げる。
消火用の水の準備も滞りなく済ませると、早々にクロウの先導でブランチの森へ出発することになった。
魔力と魔法によって補強した馬車で、全速力で草原を駆け抜けて燃え盛る森へと直進する。
およそ三十分ほどで森の目前に辿り着くと、火事発覚からかなり早い対応だったのにもかかわらず、火の手は視界一杯に広がっていた。
(熱い……! 森から少し離れた場所にいるのに熱を感じる)
アウルは火に顔を照らされて目を細め、隣でフェンリルも不安げに森を見つめている。
一方でクロウはやはり一貫した冷静さで兵士たちに命令を出し、消火活動に取りかかっていた。
「燃焼地帯は大まかに四カ所だ! 班を四つに分け、それぞれ消火活動に当たれ!」
監視塔からの報告と遠目から確認した限り、燃焼地帯は四カ所。
事前に割り振っていた班に兵を分け、それぞれ燃焼地帯に向かわせる。
そして一番被害が大きい場所に、クロウとアウルを含めた班を配置した。
至る所で上がった火の手が一番多く重なった大火事の現場。
「水や土の魔法が使える者は連携して火元の消火に取りかかるんだ!」
火には水だけではなく土や砂をかけるのも有効的だ。
そのためこの班に配属された兵士たちは、青色の魔力を持った水魔法使いだけでなく茶色の魔力を持った土魔法使いが多くいる。
彼らが魔法で消火に取りかかる姿を背景に、クロウは改めてアウルに命じた。
「アウルはフェンリルの氷の力を使って、燃焼地帯を氷の壁で囲んでくれ」

