転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 あまりにも派手な思いつきに、ヒルマイナは口を開けて固まってしまう。
 ドレイクの大胆な行動は毎度のことではあるが、今回に関しては明らかにリスクを伴った提案で彼が冷静さを欠いていることが伝わってくる。
 しかし焦りを覚えているのはヒルマイナも同じで、すぐにドレイクの意見に賛同を示すと、とりあえずの問題点を列挙した。

「森への放火。素晴らしいご提案だとは思いますが、領都に近いからこそその手の監視の目は常に張られているのではありませんか?」

 領都で見た監視塔からなら、この森の様子を窺うことができる。
 そして馬車を走らせれば一時間弱で辿り着けるので、火を放ってもすぐに対応されてしまうのではないかとヒルマイナは危惧した。

「そこはこの森の広大さを利用するんだ。各所で火の手を放てば、対応は確実に追いつかなくなる。仮にすべてに対処できたとしても、領都マノリアから多くの兵が駆り出され、出入りの激しくなった門では警備体制が著しく弛(し)緩(かん)するはず」

 アウルの周囲から厄介な人間たちを払える可能性も高いので、領都への侵入とアウルへの接近がかなり容易になるということだ。
 さらには、ヒルマイナが危惧したリスクについても、ドレイクはしっかりと念頭に置いていた。

「ここは幸いにも魔物が多く出没する場所だ。突発的に火の手が上がっても、人為的なものか魔物の仕業かは断定が難しい。決定的な証拠さえ残さなければ魔物がやったことにされるだろう」

「そこまでお考えになっていたのですか……」

「屋敷に戻ったらさっそく取りかかるぞヒルマイナ。必要な魔道具の準備だ」

 完全に冷静さを欠いていると思っていたドレイクが、意外にも細部に注意を払っていてヒルマイナは感動する。
 ドレイクは完璧なる勝利への道筋を見つけ、不気味な笑みをその頬に湛えた。

「これでアウルは俺のものだ……!」