「裁判になったとしても、貴様らが本気でアウルを捜していたという記録がない以上、規定に則り正式に届け出をしているこちらに分がある。加えて直近のアウルの目覚ましい活躍も考慮されれば、貴様らが金欲しさに子供を連れ戻しにきたと判断されるだろう」
クロウは黒目を鋭く細めて、ドレイクたちを睨みつけた。
「それでもなお、アウルが自分の所有物だと抜かすか?」
その問いかけに、奴らはなにも答えることができなかった。
目を泳がして返答を考えるだけで、クロウの言い分を打ち負かす言葉はまったく見つからない。
やがてハッと目を見開いたドレイクが、アウルの方に力強い視線を向けてきた。
「……アウル……そうだアウル! 貴様がうちに戻ってくると自分の口から言えばいいんだ!」
「えっ?」
「本当はそっちの屋敷になんかいたくないんだろ? 頼んでもいないのに勝手に拾われて、そいつらが勝手に育てているだけなんだろ?」
アウルは内心で「そうきたか」と呆れる。
「本心では貴様はダスター伯爵家に戻りたいと思っているんだろ。なあ、そうだと言えアウル!」
クロウを言いくるめることができなかったから、今度は子供を脅迫する手段に打って出たのだ。
確かにアウル本人が帰りたいと言えば、クロウたちは親元に子供を返還しなければいけなくなる。
正式に届け出をしていたとしても、子供の意思を無視して勝手に育てたということになるから。
だからアウルからそのひと言さえ引き出せてしまえば、向こうの思惑通りの展開となるのだ。
そのための恫(どう)喝(かつ)だったようだが、クロウがそばにいてくれる安心感が、アウルに勇気を与えてくれた。
「…………いやでしゅ」
「あっ?」
「いやでしゅ! ぼくがいっしょにいたいのは、クロウおにいしゃまのほうでしゅ!」

