開き直った。
ドレイクは猫を被ることをやめて、下卑た笑みをその頬に湛えていた。
正しくアウルの記憶にある冷酷なドレイクそのものだ。
その本性がわかっていたクロウは特に驚いた様子もなく、冷静に聞き返した。
「当然の権利を主張しにきた? いったいなんのことだ?」
「アウルは俺の息子だ! 所有権は当然この俺にある!」
「……」
所有権、という言葉が出た瞬間、クロウの眉根が微かに動く。
確かに子供は親の財産のひとつとして扱われている。
貴族の子ならその価値を重んじられていて、尚更その認識が世間的には浸透している。
どうやらドレイクは、その所有権を主張してアウルを返せと言いたいようだった。
「息子はただ行方不明になっていただけだ! だというのに貴様らは勝手にアウルを拾い、許可なく屋敷で育てていた。これは正式に誘拐罪や隠匿罪として扱われる可能性が高いぞ」
無茶苦茶なことを言っているわけではない。
実際に行方不明になっていた子供を勝手に拾って育てて罪に問われた例もある。
ダスター家にはアウルを正式に勘当したという記録も残されていないため、行方不明になっていたという主張はまかり通ってしまう。
加えて子供の意思より親の意思が尊重されるため、アウルからはなにも言うことができなかった。
「罪に問われたらマグノリア領の主として不都合なのではないか? 公に問題にされたくなければ、大人しくアウルを返すことだな。そいつはダスター家の人間だ」
正式に裁かれてしまうと、領主としての印象を著しく悪くしてしまう。
クロウの立場を的確に利用した脅迫に、従者たちが唇を噛みしめていた。
しかし、クロウだけはいまだに冷静さを貫いていた。
「なるほど、筋は通っているな」
「ならばさっさとアウルをこちらに……!」
「では、当然〝捜索届〟を出してはいるのだろう?」
「あっ?」

