クロウに付き従っている側の従者たちにも緊張が走り、ドレイクとヒルマイナに至っては額に脂汗を滲ませて凍りついていた。
やがてふたりは震えた声を絞り出す。
「……と、とんでもございませんクロウ様。私たちがアウルを虐げていて、そのうえ故意に捨てたなどあり得ない話でございます。なあヒルマイナ?」
「えぇ。きっとうちで読んだ絵本の話を、冗談のつもりでクロウ様にお話しになったのではないでしょうか? そうでしょうアウル?」
ヒルマイナの視線がこちらに向けられる。
その目からは「そうだと言え」という肯定を強要する意思を強く感じ、不快な視線から逃れるようにアウルは咄嗟に目を逸らした。
脅迫に失敗したヒルマイナが舌打ちを漏らした気配を感じていると、クロウがいよいよ核心に触れる発言をする。
「必死だな。そこまでして息子を……いいや、息子が発明によって得ている報酬金を懐に収めたいか」
「……っ!?」
図星。その言葉をあらわすに相応しい表情をドレイクとヒルマイナは見せる。
やはりふたりの目的は金だったようだ。
「アウルが公表した送風機の件を知ったのだろう? ガーディニア王国で価値ある発明と認められ、独占権を譲渡された王国側が量産体制に入ろうとしていることを」
思惑を見透かされているとわかったからか、ドレイクとヒルマイナは気まずそうに目を逸らしている。
そんな彼らの気持ちなど知らぬと言わんばかりに、クロウは語気を強めて続けた。
「その利益の一部をアウルが得ることになるとわかり、自ら捨てた息子を金欲しさに取り返しにやってきた。清々しいほどのクズだな、ドレイク・ダスター、ヒルマイナ・ダスター」
はっきりと言葉にして罵ると、再び検問所内を沈黙が支配する。
猫を被っていたのにあっさり見透かされて、余裕がなくなってしまったふたり。
見ているこちらまで気まずい思いになり、同席しているクロウの従者たちも張り詰めた空気感に顔をしかめている。
するとその沈黙を破ったのは、ドレイクの吐き捨てるような笑い声だった。
「ハッ、クズだと? 俺は当然の権利を主張しにきただけだ」

