転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


 その声音には幾分かの怒りの感情が込められていることが伝わってきて、この場にいる者たちに緊張が走る。
 しかしアウルだけは、繋いだ手からクロウの優しさを感じ取り、心強さと安心感を覚えた。
 クロウの鋭い視線がドレイクとヒルマイナを貫く。

「アウルがなにもわからない子供だと思って連れ帰ろうとしたみたいだが、この子は貴様らが思っている以上に聡明な子だ。すでにアウルに対して行った非道の数々は、この子の口から直接聞いているぞ」

「……っ」

 どうやらドレイクとヒルマイナの思惑は、こちらの予想の通りだったようだ。
 アウルが家を追い出されたことを自覚しており、そしてクロウがダスター家の実態をすでに掴んでいるとわかって表情を崩した。
 ささやかに食いしばられた歯からは焦りと動揺が見て取れる。
 その焦燥をさらに煽るように、クロウは掴んでいる情報をこれ見よがしに開示した。

「魔法使いの名家であるダスター伯爵家。そこに生まれた子供アウルは名家の血筋にそぐわず魔法の才能を持ち合わせていなかった」

 繋いだ手がわずかにギュッと締まり、クロウの怒りが伝わってくる。

「ダスター家としては有力な魔法使いを輩出しなければ名家の面目を保てなくなる。その焦りと怒りをアウルにぶつけ、生家内で虐げていた」

 語気も次第に強まってくる。無表情だった顔もしかめられていく。
 アウルだけではなく誰が見ても怒りをあらわにした様子になり、この場の空気が張り詰められると、クロウは皮肉交じりにドレイクたちに詰め寄った。

「そして最後にはアウルを家から捨てることを決めて、我がマグノリア領の危険地帯のひとつであるブランチの森に置き去りにした。愛息と呼ぶ存在に対して、随分と酷な仕打ちのように見えるがな」

 一瞬の静寂が検問所内に訪れる。