クロウが怒っている。
いつも表情を変えずに感情を窺わせなかったあのクロウが、見るからに激怒して額に青筋を立てている。
アウルがこの屋敷の人たちを大切に思っているのと同様、クロウもアウルのことを大切に思っている。
そのアウルを理不尽に家から追い出し、果ては悪意を持って魔物がひしめく危険地帯に捨てた親。
文句のひとつも言ってやりたいと思うのも当然だ。
クロウの気持ちもわかったアウルは、それ以上彼を引き留めようとはしなかった。
ただ……
「わかりまちた。クロウおにいしゃまにまかせる。でも……」
アウルはドレイクたちに対する恐怖心をなんとか抑え込み、真っ直ぐな眼差しでクロウを見据えた。
「せめて、うしろでみててもいいでしゅか?」
「そうだな。連中が目の前から立ち去っていく姿をきっちり見ておいた方が、アウルとしても安心できるだろう。ついてこい」
クロウはそう言って、下から掬うように手を繋いでくれた。

