新型送風機の発明が認められ、その祝宴を催してもらってから一週間後。
アウルは私室にて再び魔道具製作に取りかかっていた。
前に話していた送風機のさらに改良版……前世の日本で見た覚えがある〝ハンディファン〟の製作である。
誰でも簡単に持ち運べるようになれば、どこでも好きに涼を取ることができるのでこの時期ぴったりの道具だ。
しかし現存の送風機の羽根を変えるだけだった前回と比べ、今回は形と大きさがかなり変わるため製作に四苦八苦している最中である。
送風機と同じ材料を使ってもサイズが大きくなってしまったので、色々と別の類似素材を集めてもらって試行錯誤を繰り返していた。
「アウル様、追加の材料こちらに置いておきますね」
「あいがとー」
ロビンが別の魔物素材を持ってきてくれて、それを横目に見ながら手元の材料に魔力を流し続ける。
やがてその素材に充分な魔力が蓄積されるが、思い描いていた通りの部品にはならなかった。
残念ながら失敗してしまった素材を近くにいたフェンリルに渡し、失敗品入れに仕舞ってくれるのを一(いち)瞥(べつ)しながら、負けじと次の素材を手に取る。
その様子を傍らで見守っていたクロウが、感心するような声音で呟いた。
「これだけの量の魔力を消費して、なお疲弊した様子を見せず次の作業に取りかかるとは……。相変わらず天井知らずの魔力量だな」
今はクロウが珍しく部屋にやってきていて、アウルの魔道具製作を見守っている。
アウルが実際に魔道具を製作しているところを実はまだしっかりと見たことがないから、今一度それを目にしようと思って来たらしい。
改まって見られると緊張してしまうが、きちんと魔道具製作ができるところを見てもらう機会でもあるためアウルは張り切っていた。
(ハンディファンがうまくできたらみんなびっくりするだろうな。その時の反応が楽しみだ)
密かにワクワクしながら魔道具製作を進めていると……
コンコンコンッ。
不意に誰かが部屋の扉を叩いてきた。

