「なに?」
「記事によると発明品の公表はアウル名義となっています。であればおそらく、発明によって得られる利益の一部は、名義人のアウルに支払われている可能性が高いかと」
「……そうか!」
ヒルマイナが本当に知らせたかったのはこのことだ。
性がエグレットになっているため、クロウ・エグレットがアウルを拾い育てているのはまず間違いない。
しかし発明品の公表は保護者的な立場のクロウ名義ではなく、本人のアウル名義になっている。
筋を通したかったのかは知らないが、ドレイクとしてはこの事実を利用しない手はなかった。
「アウルは元々ダスター家の子供だ。そして勘当したことはまだ外部に知られていない。親の権利を主張すればアウルを取り戻せるやもしれんな」
子供は親の財産的な扱いとなっている。
さらに勘当したことは他の誰にも知られていないので、なにかしらの要因で行方不明になっていたことにすれば手元に戻せる可能性が高い。
アウル自身も五歳でものの分別などついていない年頃だ。
自分が家を追い出されたといまだに気付いておらず、家に戻ってきなさいと言えば素直に戻ってくるかもしれない。
伝えたかったことを理解してもらい、ヒルマイナは勢いづいてドレイクに告げる。
「アウルを取り戻せれば発明によって得られる利益の一部は私たちのものです。そうすればこの被害額と請求額の支払いなんて容易(たやす)いものですよ! 領地開拓に必要なさらなる資金も手に入ります!」
「よくぞ有益な情報を伝えてくれたなヒルマイナ。それでこそ俺が愛する最高の妻だ」
ドレイクはヒルマイナを力強く抱擁し、ヒルマイナも両手を回し返してふたりで抱き合った。
その最中、ドレイクは逆境を切り抜ける未来を想像し、不敵な笑みを浮かべる。
「アウルを取り戻し、本来俺たちのものになっていたはずの金をいただく。それは俺たちのものだ……!」
確かな悪意が、足音を立てて着実にアウルに迫っていた。

